- 基本概念の説明:Claude Skillsとは何か、従来のプロンプトとの違い
- 技術的仕組み:SKILL.md ファイルの構造、プログレッシブディスクロージャ
- 実践的な作り方:5 つのステップによる具体的な作成方法
- 品質向上のコツ:専門知識の重要性、実例を交えた説明
- 活用リソース:skill-creator、Agent Aなどの利用可能ツール
Ahrefs ブログに新しい記事が公開されたら、その URL を Claude に貼り付けて /linkedin-pipeline を実行します。
すると記事の内容を読み取り、3〜5 パターンの LinkedIn 投稿を自動生成してくれます。

この仕組みを作る前は、LinkedIn 投稿を依頼するたびに同じことを説明し直していました。トーン&ボイスのルール、フォールドラインの指示、好みのフックパターンと避けたいパターン、参考にすべき投稿例、CTA のスタイル。毎回少しずつ言い回しが変わり、出力も毎回少しずつブレていました。
スキルを使えばこの問題は解決します。プレイブック(指示書)を一度書くだけで、依頼するたびに Claude がそれを実行してくれます。プロンプトの再入力は不要。出力のブレもありません。
この記事では、Claude Skills とは何か、どのような仕組みで動くのか、そして実際にスキルを作成する方法を解説します。
Claude Skills は、保存・再利用できる指示パッケージです。Claude がタスクを認識すると、対応するスキルを自動的に実行します。
プロンプトは一回限りの指示です。入力すると Claude が応答し、その指示は消えてしまいます。次に同じ作業をするときは、もう一度入力するか、テンプレートとして保存しておいたものを貼り付けるか。どちらにしても、そのプロンプトの存在を覚えておき、探し出し、Claude に渡す作業はすべて人間の役割です。
スキルはその一歩先にあります。プレイブックを一度書いておけば、Claude がリクエスト内容を読み取り、該当するスキルがあるかどうかを判断し、あればそのまま実行します。メニューから選ぶ必要も、貼り付ける必要もありません。普段どおりの言葉でタスクを伝えるだけで、保存済みのプレイブックが起動します。

このフォーマットはオープン標準で、Anthropic は「Agent Skills」と呼んでいます。Claude Code に組み込まれているスキルも、同じ SKILL.md 形式で動いています。つまり、今日作成したスキルは Claude 専用ではなく、モデルとファイルシステムが連携できる環境であればどこでも動作します。
スキルの実体はフォルダです。その中に SKILL.md というファイルがあり、先頭に YAML の小さなブロック、その下に自然言語の指示が記述されています。
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スキル: outline
ディスクリプション: ユーザーが「outline」とプロンプトした際に、記事の構成・セクション・見出しを選定された構成に沿って書き直すスキルです。
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フロントマター(YAML ブロック)には 2 つの役割があります。スキルに名前を付けることと、Claude に説明(description)を伝えることです。
この説明がトリガーとして機能します。Claude はリクエストがこのスキルに該当するかどうかを判断するために、この説明を読みます。デフォルトで Claude が参照するのはこの部分だけなので、1〜2 文で的確に役割を伝えなければなりません。
フロントマターの下に、プレイブックを記述します。ステップ、例、ルールなど、タスクに必要な内容をすべて書きます。
フォルダにはスタイルリファレンス、チェックリスト、テンプレートなどの補足ファイルも格納できます。Claude がこれらを読み込むのは、実行中のスキルがそれを求めたときだけです。この仕組みは「プログレッシブディスクロージャ」と呼ばれ、スキルのトークンコストを低く抑える鍵になっています。3 つのレイヤーで構成されています。
- フロントマターは常にコンテキストに含まれる:名前と説明のみで、Claude がスキルを起動するかどうか判断する際に読まれます。
- SKILL.md の本文はスキル起動時に読み込まれる:プレイブック本体です。
- リンクされたファイル:プレイブックが Claude に読み込みを指示したときだけ読み込まれる。長いスタイルガイド、エッジケース集、API ドキュメントなどが該当します。
すべてを 1 つの巨大なプロンプトに詰め込む必要はありません。Claude に構造化されたキットを渡すことで、長い参考資料のトークンコストは実際に必要になるまでゼロのままです。
フォルダの配置場所はプロジェクト内の .claude/skills/<skill-name>/SKILL.md です。フォルダを作成し、わかりやすい名前を付ければ、スキルはすぐに使えるようになります。すべてのプロジェクトで共通して使いたいスキルは、~/.claude/skills/ に配置してください。
開発者である必要はまったくありません。Anthropic は skill-creator というスキルを公式スキルリポジトリで公開しています。

一度インストールすれば、タスクについての質問に答えていくだけで SKILL.md のドラフトを作成し、フォルダ構造まで自動で生成してくれます。Claude.ai では、「Settings → Capabilities」から同じスキルを利用できます。ぜひ活用してください。
ただし、ファイルの中身を理解しておくことは重要です。スキルが想定どおりに動かないとき、修正するのは自分自身だからです。
1. すでに繰り返しているタスクを選ぶ
最も時間を無駄にするパターンは、一度にすべてのタスクをスキル化しようとすることです。まずは 2 つの条件を満たすタスクを 1 つ選びましょう。定期的に行っている作業であること、そして毎回同じ背景情報を説明し直していること。
筆者の場合は、公開済みの記事を LinkedIn 投稿に変換する作業でした。ほかにも、トランスクリプトから引用集を作る、コンテンツブリーフを特定のトーンで書き直す、編集チェックリストに沿って記事の QA を行うなど、さまざまなタスクが候補になります。これらはすべて同じ構造を持っています。同じ種類のインプット、同じ判断基準、同じ種類のアウトプットが毎回求められるということです。

「良いアウトプットとはどういうものか」を一文で説明できない場合、そのタスクはまだスキル化する段階にありません。まずは通常の会話でやり取りを重ね、判断基準を固めてから取り組みましょう。
2. トリガーとして機能する description を書く
description は、Claude がスキルを起動するかどうか判断する際に唯一読む部分です。そのため、3 つの役割を同時に果たす必要があります。スキルの機能を説明すること、Claude がいつこのスキルを使うべきか示すこと、そしてユーザーが実際に使いそうなトリガーフレーズを含めることです。
トリガーフレーズは、機能紹介ページのような書き方ではなく、実際にタスクを依頼するときの言い回しで書いてください。たとえば普段「記事の骨組みを出して」と言っているのに、description に「outline」という単語しか含まれていなければ、スキルは起動しません。
良い例と悪い例の違いを見てみましょう。
- ライティングを支援する:これでは起動しません。トリガーがなく、単なるカテゴリ名にすぎないため、Claude がマッチングする手がかりがありません。
- ユーザーが記事の要約、まとめを求めたときに使用する:これなら確実に起動します。具体的なタスク、明確なトリガーフレーズ、スコープが明確に定義されています。
3. 説明するより、実例を見せる
スキルの本文で最も多くの人がつまずくポイントです。「私の声で書いて」と書くだけで済むと思いがちですが、それでは機能しません。曖昧な指示からは曖昧なアウトプットしか生まれません。

効果的な 4 つのアプローチを紹介します。
- 実例を示す。 実際のインプットと、それに対して期待するアウトプットをセットで貼り付けます。1 つの優れた実例は、一段落分の説明文に勝ります。
- アンチパターンを明示する。「em ダッシュを使わない」「定義文で書き出さない」「セクションは 3 つ以内にする」など、過去に見た失敗を具体的なルールとして書き出します。
- セルフチェックを末尾に入れる。 Claude が応答前に確認する短いチェックリストを用意しておくと、散文の指示では防ぎきれないブレを検出できます。
- 簡潔にまとめる。 スキルが長く複雑になるほど、Claude がすべての指示に従う可能性は低下します。役割を果たしていないセクションは削除しましょう。Anthropic 公式のスキル作成ガイドラインでも、SKILL.md は 500 行以内に収めることが推奨されています。モデルは「良いアウトプットとは何か」を自分では知りません。本文にはその定義だけを書くべきです。
4. 長いコンテンツは別ファイルに分ける
メインのプレイブックを肥大化させるもの、たとえば長いスタイルリファレンス、サンプルライブラリ、競合 URL のリスト、API ドキュメントなどは、スキルフォルダ内の別ファイルに格納します。SKILL.md から参照はしますが、内容を直接貼り付けることはしません。

あとはプログレッシブディスクロージャが処理してくれます。リンクされたファイルは、実行中のスキルがそれを必要としたときだけ読み込まれるため、トークンコストは実際に使われるまでゼロのままです。
5. 副作用のあるスキルはロックダウンする
本来対象外のリクエストにまでスキルが起動してしまう場合や、実行結果を完全にコントロールしたい場合は、フロントマターに disable-model-invocation: true を設定します。これにより、Claude が自動でスキルを起動しなくなります。
手動で起動するには /skill-name と入力します。デプロイスキル、CMS への公開スキル、Slack メッセージを送信するスキルなど、モデルに勝手に実行させたくないスキルに有効です。

スキルは 2 つの要素を貼り合わせたものです。プレイブックにエンコードした専門知識と、そのプレイブックがアクセスできるデータです。多くの人はこの両方を過小評価しています。
マークダウンを書くのは 10 分で終わります。しかし、コンテンツブリーフを作るときに自分が実際にやっていること、つまり判断基準、一度も文章化したことのないルール、考えるまでもなく却下している要素を言語化するには、キャリアの残り全部を費やすことになります。さらに、それをライブの SERP データや CMS、スタイルガイドに接続するのは、また別のプロジェクトです。
Ahrefs のコンテンツマーケティングディレクターであるライアン・ロウを例に挙げましょう。ライアンさんは最近、Claude Code で 23 個のスキルからなるコンテンツエンジニアリングパイプラインを構築した方法について記事を公開しました。メインの blog-pipeline スキルの背後にスキルをチェーン接続し、公開可能な記事を 6〜12 分で生成する仕組みです。

注目すべきは、実際にどこに労力がかかったかという点です。LinkedIn のコメント欄にいた人物がそれを端的に表現していました。
ライアンさんの SKILL ファイルが優れているのは、ライアンさん自身が何を書くべきかをすでに知っていたからだ。白紙状態のツールを使う大半の人には、13 年分の編集経験という土台がない。ギャップはツールだけにあるのではなく、ツールの背後にいる人間にもある。

片方には 13 年の編集の専門知識。もう片方には Ahrefs MCP が接続されており、スキルがハルシネーション(幻覚)ではなく実データを取得できる環境。その間にあるマークダウンは一番簡単な部分でした。
スキルと経験があれば、これをすべて自分で構築できます。そうでなければ、他のリソースを活用しましょう。
Claude Code にはすべてのセッションで使えるバンドルスキルが同梱されています。/batch、/claude-api、/debug、/loop、/simplify などがあり、Claude Code をインストールした瞬間から使えます。Anthropic は公開スキルリポジトリも提供しており、フォーク、コピー、改変が可能です。コミュニティディレクトリも登場し始めています。

SEO やマーケティングに特化したツールとしては、Agent A があります。Ahrefs データへの無制限アクセスに加え、Notion、HubSpot、WordPress、Slack、Google Search Console などの主要ツールとの連携機能を備えた AI エージェントです。
やりたいことを説明するだけで、ツール、レポート、アプリ、ダッシュボード、そしてスキルまで、Agent A が設計・作成・デプロイします。ワークスペースに常駐し、過去に一緒に行った意思決定を記憶し、対象データと対象ツールにスコープが限定されています。

Ahrefs では、社内の専門チームがキュレーションし、実際のマーケティング業務でチューニングしたマーケティングスキルライブラリも事前構築しています。たとえば、AI によるブランドセンチメント分析の実行、コンテンツギャップ分析、トラフィックが減少しているコンテンツの検出、リンクベイトの機会発見など、さまざまなスキルを自動で起動できます。

Agent A は Claude Code と同じ SKILL.md フォーマットで動作します。つまり、Claude Code で構築したスキルライブラリがすでにある場合でも、Agent A に簡単に移行できます。
スキルフォーマットは見た目以上に大きな意味を持つ。Claude を「毎回同じことを説明し直すチャットウィンドウ」から「トレーニング可能なシステム」に変えるための仕組みだからだ。実際に使うスキルを 3〜4 個構築すれば、指示を打ち込む作業がなくなり、システムをトリガーするだけで済むようになる。
今週、小さなスキルを 1 つ作ってみてください。毎週火曜日にやっているけれど、正確な手順をいつも忘れてしまうタスクを選びましょう。skill-creator を実行するか、Agent A にタスクを説明して、スキルの下書き、インストール、テストまで任せてしまいましょう。どちらの方法でも 15 分程度で完了します。
次にそのタスクが回ってきたとき、本当に使えるものを作れたのか、それとも単に凝ったプロンプトを作っただけなのかが分かります。一度このテストをクリアすれば、スキルを作り続けずにはいられなくなるはずです。

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